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自社オリジナル技術 可飽和コイル
シンプルで悪条件下でもトラブルレス
長期にわたる安定した高性能をもたらす
マコメ研究所製のセンサーに使われている磁気検出素子「可飽和コイル」について、お問い合わせをいただくことがあります。磁気検出式センサーといえば、「ホール素子(ホール効果)」を思い浮かべる方はたくさんいらっしゃいます。また、詳しい方なら「磁気抵抗素子」や「フラックスゲート」をご存じかもしれません。しかし、MACOMEオリジナル技術である可飽和コイルについては、ご存知ではないかと思われます。磁気検出の種類とその感度域を図1に示します。製品分類からいえば可飽和コイルセンサーは「フラックスゲート磁気センサー」の一種になります(表)。
基本原理 | 素 子 | 素 子 |
---|---|---|
ホール効果 | 半導体 | ホールセンサー |
磁気抵抗効果 | 強磁性薄膜 | MRセンサー GMRセンサー TMRセンサー |
磁気インピーダンス効果 | アモルファスワイヤー | MIセンサー |
磁気飽和現象 | パーマロイ | フラックスゲート磁気センサー マコメ可飽和コイルセンサー |
その他 | 磁気ヘッド、プロトン磁力計、SQUID |
表 磁気検出の種類。可飽和コイルセンサーは、フラックスゲート磁気センサーに類する
図1 磁界の強さと磁気センサーの感度域。可飽和コイルセンサーは、幅広い用途やジャンルに対応できるスペックを持つ
可飽和コイルを構成する
パーマロイコアとコイル
「可飽和コイルセンサー」の磁気検出素子である「可飽和コイル」は、「軟磁性体(パーマロイ)」のコアにコイルを巻き付けた単純な構造をしています(図2、写真)。
図2 可飽和コイルの構造図。「軟磁性体(パーマロイ)」の
コアの周囲にコイルを巻きつけている
写真 可飽和コイル
パーマロイは透磁率が高く、可飽和コイルは非飽和(無磁界)の状態では、大きなインダクタンスを示します。可飽和コイルに外部から磁界を加えると、磁気は透磁率が高いコアの中を通り抜けます。加える外部磁界が大きくなりコアの最大磁束密度を超えると、コアは磁気飽和状態となり可飽和コイルのインダクタンスは低下します(グラフ)。
グラフ 外部磁界に対する可飽和コイルのインダクタンス変化
パーマロイの持つ特性と形状の工夫で
高精度&高信頼性の両立を実現
可飽和コイルは、非飽和状態と飽和状態におけるインダクタンスの差が大きく、その変化も急峻であることから高精度な検出が実現できます。このような特長は、パーマロイの高透磁率で低保持力という特性と、コアの形状から決定されます。インダクタンスの変化を大きく取るためにはコアの反磁界係数を小さくすれば良く、外形を細長くすることで反磁界係数は小さくなります。さらにコアの形状を工夫することで、より急峻で大きな変化量を持つ特性とすることもできます。
また、形状を細長くすることで「形状磁気異方性」が生まれ、軸方向の外部磁界に対してだけ強く磁化するようになります。そのため、コアの円周上に巻かれたコイルにより、加えられた磁場成分の中から軸方向の成分だけを容易に検出することができます。
このような可飽和コイルの特性を生かしたMACOMEブランドの磁気応用機器は、高精度、高信頼性といった特徴を誇ります。